『むち打ち』の原因って?

自動車事故などでよく聞く「むち打ち」。

実際どのようなメカニズムで、どんな症状が出るのか、ご存じない方も多くいらっしゃると思いますので、今回はその辺を詳しく説明させて頂きます。

「むち打ち」という呼ばれ方は通称で、正確には「頸椎捻挫」や「外傷性頚部症候群」と言います。簡単に言ってしまえば「首のねんざ」です。

捻挫というと、多くの方が「足首の捻挫」を思い浮かべ易いと思われます。「足首の捻挫」では、捻った直後から時間が経過するにつれて患部が腫れ上がって痛みが強くなってきます。「むち打ち」も同じ捻挫ですので、事故直後は痛みを感じなくても、時間の経過と共に炎症が起きて痛みが強くなるケースが多いです。

ではなぜ「炎症」が起きるのでしょうか。

「捻挫」は、患部の関節の骨を繋いでいる「靭帯」の繊維が無理に引き伸ばされて傷ついた状態のことをいいます。靭帯が傷つくと、広範囲に散らばった破片を白血球がかき集めようとします。血管外にまで広がった破片の近くまで白血球を移動させる為に、血管が広がり一時的に白血球を血管外に出します。この際に、白血球と一緒に痛みを起こす物質も出されます。

「炎症」には3つの特徴があります。
●発赤(赤み)…血管が広がる為に、患部が赤くなります。
●疼痛(痛み)…患部周囲に痛みを起こす物質が出る為です。
●腫脹(腫れ)…白血球や痛み物質が血管外に出る為、患部が
腫れ上がります。

「むち打ち」は、追突された際の首から上の動きが、鞭を打つ時の軌道と同じようである事から呼ばれる様になったと考えられています。

この動きで想像できるように、「むち打ち」では重い頭が事故の衝撃で後方にのけ反り、その反動で前方に勢い良く出る事で、首の骨と骨の間の「椎間関節」が大きく引き伸ばされて損傷します。

同じ捻挫でも足首の捻挫と頸椎の捻挫では、頸椎捻挫のほうが痛みを感じ辛く、発赤や腫脹も分かり辛い傾向にあります。これは、足首の関節が皮膚表面近くに位置しているのに比べて、椎間関節は奥に位置する為です。

その為、身体は頭痛や吐き気・めまい等のサイン、痛みの信号を周辺の肩や背中、腕・頭などに送ったり、首や肩周辺の筋肉を硬くして首を守ろうとするのです。

首には筋肉や靭帯以外に、神経も走っております。追突の衝撃で神経が圧迫され、その神経が支配している箇所にシビれが出る事もあります。手・腕のシビれが症状としては多いようです。強い圧迫からヘルニアを発症されるケースもあります、

むち打ちの症状を、再度確認してみます。

●首・肩・背中の痛み・張り感
●頭痛
●吐き気
●めまい
●手・腕のシビれ

一般的に、むち打ちは年齢が高い方が、より症状が強い傾向にあります。これは、加齢によって椎間関節にあるクッション「椎間円板」が小さくなる為に椎間関節がゆるんでくる為です。ゆるんだ関節は、追突の際に生じる動きが大きくなる為、ダメージが強くなってしまうと考えられます。

更に、椎間関節が常にゆるんでいると慢性的に関節で炎症が起こっている状態になり、事故の際も痛みが長期化してしまいやすくなります。

「むち打ち」の際、上記のように熱感を感じ辛いですが、初期の自己処置としては他の捻挫と同様に患部を冷やしてあげましょう。
同様に、炎症部位を無理に動かすと患部の損傷がより強くなってしまいますので、首を無理に動かさず、負担のかからない正しい姿勢を保って安静にする事も重要です。症状によってはコルセットをつける事もあります。

まずは、事故直後に痛み等の症状が無くても警察への連絡をし、病院(整形外科)に行って診察を受けましょう。

炎症が治まってきたら、医師と相談の上、「自賠責」の適用の流れから接骨院に通いましょう。

当院では手技療法や温熱療法で硬くなってしまった筋肉の血行を促進し、運動療法で関節の可動域を高めて参ります。強い症状の場合には、鍼灸治療も有効です。

むち打ちは状態にもよりますが、1~3か月程の治療期間を要します。
事故から時間が経つにつれて重い症状が出てくる場合もありますので、早期の治療が重要になってきます。

事故直後は、突然の事で動揺される事もあるかと思います。
事故に遭われた際の対応についてなど、下記ページも参考にして下さい。
https://waseda.la-sante.co.jp/traffic-accident-treatment/