メンターという言葉の語源は古代ギリシアの時代に遡るそうです。
メンター制度が人材育成制度として確立したのは1980年代のアメリカと言われており、日本で話題に上がるようになったのは1990年代になってから。バブル経済崩壊後の当時の日本では、それまでの年功序列から自然発生的に出来上がる学校の延長のような先輩後輩に似た師弟関係は失われ、実力主義の組織体制へと移行する企業が増加し、多様化への対応からフラットな組織へと方向転換する企業も増加、新人が職場で孤立するケースが増えていたそうです。
我々施術者(柔道整復師・はり師きゅう師・あん摩マッサージ指圧師)の資格は開業権を持っていることもあって、元々は実力主義が当たり前の業界であり、職場です。『技術は先輩を見て盗め』『出来ないなら居残ってでも出来るまで練習しろ』『自分の技術を高めるためなんだから教えてもらおうと思うな。自分から学びに行け』そんな空気が業界にはありました。
厚生労働省が『メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル』を策定したのが2012年。ある日、弊社代表が『これをやろう!』と言ってメンター制度の導入事例を紹介する新聞記事を幹部たちに見せたのが2013年。翌年の新入社員たちからメンターが付くようになりました。
もちろん業界では前例など聞いたことがなく、みんな手探り。『仕事を教える現場の責任者と何が違うの?』『メンターって技術指導をすればいいの?今までと何が違うの?』最初はそんなスタートでした。
『メンター』とは助言者や相談者などを意味する言葉で、テン十字では新入社員ひとりひとりに先輩社員が専属で選任されます。メンターは仕事の指導もしますが、主に相談・支援が目的です。役割としては『新人の面倒見役』。仕事上の指示や指導は責任者である院長が行いますが、直接、上司である院長に相談出来ない悩みもありますよね。そんなときに気軽に相談相手になってもらえるのがメンターです。
メンターには院の人員配置の都合もありますが、基本的に入社して2~3年目の先輩スタッフを選任します。一般的な定義では仕事上の利害関係の無い別のセクションの職員を専任するようですが、広域に他店舗展開しているテン十字では別の部署のスタッフの面倒をみるにはメンターをやってくれるスタッフに大変な負担を掛けることになってしまうので、同じ部署のスタッフから選ばれます。まだ社歴の浅いスタッフは自分が新人として現場に出たときの不安な気持ちを覚えていますし、その時期を克服して次のステップへ向かっている時期でもあります。そんな時期のスタッフだからこそ、入社したばかりの新入社員の面倒を献身的に親身になって行うことが出来るのです。
メンター制度は”ひとりひとりをしっかりと育てる”テン十字の人材育成方針にとてもマッチした人事制度となっています。